RB26DETT S1パーツコンバージョンエンジン オーバーホール日記 Vol.8 ~ ベンチ運転・シャシダイ編

■オーバーホール実施のS1パーツコンエンジンデータ

施工日 2002/11/14
施工後距離 73,812km
S1パーツコン基数 328基中35基目

S1パーツコンバージョンを施工したエンジンの一通りのオーバーホールが完了しました。

14年経過したエンジンは、ピストンリングの密着不足やゴム部品の劣化、ターボハウジング内の亀裂発生という熱害も含めた経年劣化がありました。

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但し、腰下のブロックやピストンに手が加えられていないS1パーツコンバージョンエンジンでしたが、総走行距離約10万キロなりの金属摩耗が見受けられたレベルでした。改めてRB26エンジンの素晴らしさを確認する事が出来ました。ただ、点検をして今は大丈夫な部品でも、これからの10年、15年、安心して使用できるエンジンにする為に、交換する所は交換し、仕上げていきます。

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ポイントとして、エンジンを降ろさないと交換できないような場所にあるシールやガスケット・ホースなどの部品。それと、脱着時に交換する事で工賃が発生しない部品の交換も、これからの維持費を考えて、予防という意味からも重要となります。また、電装系の部品は、端子の摩耗はもとより、長年電気を流し続けた影響で正しい信号を生み出さなくなっている為、新品交換が必要です。

■始動チェック及びセンサー・電装部品の作動確認

(IGコイル、クランク角センサー、スロットルセンサー、他各センサー、ハーネス類)

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組み上がったエンジンがベストな状態である事を確認する為に大森ファクトリーではベンチでの確認を行っています。電装系はパソコンで数値を確認し、不具合がないかチェックします。

 

■ベンチ運転

・ラッピング(慣らし運転)全開性能測定/ブーストチェック

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電装系のチェックが完了したら、ラッピング(慣らし運転)に入ります。長く大切に乗る為にこの作業を省く訳にはいきません。そもそも慣らし運転ってどの位必要か。距離は?回転は?決まった数字って無いですよね。3000回転で1000キロやるとしても、アクセルだけでトルクを一定にできません。エンジンベンチだとそれが出来ます。回転、トルク、油温、水温、吸気温。全てを一定にし、また排気温やA/Fといった数値を見ながら慣らし運転を行うので、出荷時には全開できる状態となります。

慣らし運転が終わり、水やオイルの漏れをチェック。そこからブーストチェックと全開性能測定を行います。これは、新品へのターボ交換含めたフルオーバーホールエンジンだからこそ行って確認出来る作業です。まさに、エンジンを組んだビルダーとして、大森ファクトリーとして、試されるデリバリー前の1つのチェックとなります。

・コンプレッション測定 内視鏡点検

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性能確認が出来たエンジン。改めてここでコンプレッション測定と、内視鏡での内部チェックを行って初めてエンジンの完成となります。

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検査を経て車両へ搭載したエンジンは、車載後、燃圧やアイドルの数値などを再度チェックします。

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その後、最終的な確認をシャシダイで行います。ブーストは規定値にあるか。パワーやトルクは問題ないか。全開性能を確認します。

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すべての作業が終了し完成しました。悪い所や劣化している部品。全てを交換し、これからの10年、15年、安心して使用頂ける車へと仕上げました。

S1パーツコンバージョンを施工した328台のGTRは、今回のユーザーのようにずっと乗り続けて頂けている方だけではないと思います。2番目、3番目のオーナーへと乗り継がれた車両もあるはずです。是非、どこかのタイミングで、オーバーホールやバージョンアップを行って下さい。そうしてくれれば、GTRは皆さんを裏切りません。そして、大森ファクトリーは、そんな車とオーナーの皆さんに、安心を届け続けたいと思います。

エンジン班の長鶴でした。

長鶴 俊一