【RB26DETT-S1 エンジンオーバーホール日記 異物混入?編】VOL.1

平成6年11月登録のR32GT-Rですが、車両診断の過程でコンプレッションの低下が測定されました。この車両は、14年10月85,000Km時にオーバーホールベースのS1を施工し、18年6月にエンジン内部に水が入ってしまうというトラブルに見舞われ、施工から8,000Kmと距離も少なかったのですが、泣く泣くエンジンを諦め、新品のベアエンジンをベースに、再度S1を施工したオーナーの思い入れが特に強いBNR32で、そこから11年が経過し52,000Kmを走行したエンジンでした。

今回、コンプレッションを実測定してみるとフロント側3気筒が1.00Mpaを下まわっており、特にNo.3が低く、内視鏡を使った観察でもNo.3シリンダーのボア壁面に縦傷が確認されました。

■コンプレッション測定■

(Mpa)
No.1 No.2 No.3 No.4 No.5 No.6
0.96 0.99 0.92 1.01 1.01 1.00

(No.3シリンダーの内壁をファイバースコープで覗いた画像)

これは、シリンダー内に異物が侵入し、ピストンとの間にはさまり、傷がついたと思われます。では何が侵入したのか。通常よくあるのはターボチャージャー破損による異物混入ですね。今回はそこまでひどくないですが、細かく検査する必要がありそうです。ちなみに、ターボからの異音はありませんでした。

(ピストンTOPに何か噛み込んで窪みができている画像)

この写真のピストン上部に噛み込んだ傷跡が穴状になっているのが皆さんも分りますか?

ユーザーに状況を説明したところ、何が原因かしっかり調べて欲しいとの事なので、オーバーホールの過程で留意しながら分解点検する事としました。

次回、分解・確認編で状況を確認して行きたいと思います