【RB26DETT-S1 エンジンオーバーホール日記 異物混入?編】VOL.4

今回、普通に組立工程を紹介をしようと思ったのですが、「異物混入の痕跡探しを諦めきれない!」その他の部品は本当に継続可能なのかどうか?組込の前にチェックしてみましょう。

VOL.3でシリンダーブロックは傷が付いていて再利用出来ない事は説明しました。では、混入した異物はどこまで入っていってしまったのか。確認する為に傷の具合を見てみます。シリンダーの一番下まで傷が付いています。異物が下まで落ちた可能性が出てきました。

そうです。油路への侵入です。

【オイルパンに痕跡?異物の欠片が残っていないか?】

オイルスラッジの蓄積は別として、シリンダーやピストンに傷を付ける程の異物の痕跡はありませんでした。オイルを抜いた時にも金属片は出てきていないので、下には落ちていないのかもしれませんが、念には念でさらに調べていきます。

【オイルストレーナーには、残っていないよな~】

オイルパンよりエンジンオイルを吸い上げるオイルストレーナー。

内部に金網は付いている為、大きい異物があればここで止まります。さすがにキズの深さや幅が示す通り、内部に異物はありませんでした。ですが、今回の異物はシリンダー内で細かく砕けた可能性もある為、金網をすり抜けた可能性が残ります。

【オイルポンプはどうか?】

オイルストレーナーの金網をすり抜けてしまうと、オイルポンプ内に侵入してしまいます。今回は新品部品に交換するオイルポンプですが、異物混入の原因を見極める為に、元の物を分解してみました。内部ギアを確認しましたが、異物が侵入したと思われる形跡はありませんでした。

【念には念を!クランクシャフト・メタル】

万が一、オイルポンプも通過してしまったとなると、シリンダーブロックのオイルラインに入っている可能性も出てきます。シリンダーブロックは新品に交換するので、オイルラインの問題はなくなるのですが、クランクシャフトにもオイルラインがあります。そこをチェックしてみましょう。クランクシャフトに開いている穴はエンジンオイルを通し、潤滑する為にあるのですが、そこが詰まってしまうと焼き付きを起こしてしまいます。詰まりも焼き付きも見られませんでした。

詰まりが無くても、異物が侵入すると、メタルに線傷が付く事があります。傷はもちろん焼き付きもありません。ここまで侵入していないかもしれません。

【パイプ類は?】

とにかく、しつこく細部まで点検して組み上げ開始しないと、安心して納車する事ができません。各部のオイル及び水パイプの詰まりも見ないといけません。ここは異物だけでなく、オイルスラッジで詰まることもありますので要注意。洗浄油で洗い、エアーブローして確認します。

ちなみに今回の異物とは関係ないですが、ウォーターラインの点検もしっかりやらなければなりません。クーラントのカスや液状ガスケットのカスが詰まっている事が結構あるからです。こちらも洗浄油で洗いエアーブローをしっかり行います。

【補機類の点検も!】

オイルクーラーやセンサー部もしっかり洗浄しなければなりません。一つの異物が命取りになる事も多々あります。

組込みの前に、全ての油路部品に対し異物混入の可能性を確認してきましたが、異物の形跡はありませんでした。ただ、全てを愚直に点検した事により、初めて安心して組み付ける事が出来ます。

トラブルを抱えたエンジンでは、起きている結果(現象や状態)だけに着目するのでは無く、引き起こされた要因をとことん追求し、常に、検証を続けながら洗浄後の組付け工程に入る事が重要です。

本号では、皆さんにアドバイス出来る領域は無いので説明だけになりましたね。

次回、無事に組みあがったエンジンを最後に紹介させて貰いますね。