いよいよ、オーバーホールをベースとしたVR38DETT-S1フルコンバージョンエンジンの1号機の作業を開始しました。
このエンジンは、’07~’10年モデル/国内仕様車(Spec VおよびNISMOを除く全車)を対象とし、出力・トルクの向上と共に、フラットトルク化を施すのですが、出力は17MY基準車相当、トルクはGT-R NISMO相当と、新車時のフィーリング以上の感覚を味わって貰えるように開発セッティングしています。
今回、どういった流れで作業を行っていくのか紹介していきます。
■エンジン降ろし
■全分解
V型でアルミブロックのエンジンは、GT3レースでも耐久性が証明されている物だけに、RB26DETTエンジンと同様に施工のし甲斐のあるベースエンジンです。
■点検、計測
<測定部位計:476ヶ所>
シリンダーブロッククリアランス | 上下3方位 | 対角2方位 | 6シリンダー | 計36ヶ所 |
シリンダーヘッドのバルブガイド クリアランス |
上下3方位 | 対角2方位 | 24バルブ | 計144ヶ所 |
ピストン側ピンクリアランス | 2ヶ所 | 3方位 | 6ピストン | 計36ヶ所 |
ピストンピンクリアランス | 4ヶ所 | – | 6ピン | 計24ヶ所 |
コンロッド側ピンクリアランス | 2ヶ所 | 3方向 | 6本 | 計36ヶ所 |
ピストンリングクリアランス (TOP、2ND) |
合い口隙間1ヶ所 | サイドクリアランス1ヶ所 | 24部位 | 計24ヶ所 |
クランクシャフトの曲り (#2と#3) |
2ヶ所 | – | 1本 | 計2ヶ所 |
メインメタルクリアランス | ブロック側24ヶ所 | クランクシャフト側16ヶ所 | 1ブロック | 計40ヶ所 |
クランクメタルクリアランス | コンロッド側6ヶ所 | クランクシャフト側 4ヶ所 |
6本 | 計60ヶ所 |
バルブスプリング荷重測定 | – | – | 24本 | 計24ヶ所 |
デッキ面の曲り測定 | ブロック側12ヶ所 | ヘッド側12ヶ所 | – | 計24ヶ所 |
バルブクリアランス | 4ヶ所 | – | 6気筒 | 計24ヶ所 |
バルブタイミング | INT側1ヶ所 | EXT側1ヶ所 | – | 計2ヶ所 |
上記部分の測定を行い、基準値から外れている部分が無いか細かく点検します。
※下記はクランクシャフトの曲り(#2と#3)の測定例です。
■ポート段付き修正加工
加工精度はかなり高いのですが、さらにNISMOスタンダードへと仕上げて行きます。
■洗浄
VR38DETTエンジンは、ガスケットやパッキンも使用していますが、殆どの部分を液状ガスケットで取り付けられています。液状ガスケットは気密性がとても高く、オイル漏れには強いのですが、剥がして掃除するのがとっても大変です。でも、ここでの洗浄をしっかりしないとオイル漏れが発生する原因になる為、手抜きできません。
■精度組み上げ
精度を求められるエンジンですので、電子式の計測器やトルクレンチなどを使用して組み上げて行きます。
■ベンチ運転
慣らし(ラッピング)運転を行って、問題がない事を確認します。
今回は、簡単に施工の流れを説明させて貰いました。このブログが出る頃には、完成しているはず。
今回、おっ!と思われたR35オーナーの皆さん、是非、新しい年式モデルへの乗り換えだけではなく、一つの選択肢としてオーバーホールを検討してみて下さい。シャシーリフレッシュも対応出来るように色々まとめていますので、また紹介して行きますね!