RB26DETT S1パーツコンバージョンエンジン オーバーホール日記 Vol.1 ~ 車両点検&エンジン降し編

みなさんこんにちは。エンジン班の長鶴です。

今回、2002年11月にS1パーツコンバージョンを施工後、14年経過し73,812Km(総走行距離93,493Km)を走行されたお客様のエンジンをオーバーホールする事となりました。車両はBNR34となります。

328件のS1パーツコンオーナーのみなさんの参考になればと、作業を通じたコンディションチェックを8回に渡り紹介していきます。

※パーツコンバージョンとは、カムシャフト及びターボの交換といったエンジンチューニングとしては比較的手頃なパーツの交換を主とし、ブロックなどの腰下には手を入れていないニスモのエンジンチューニングメニューとなります。

■車両チェック

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通常だとチェック走行でブーストのかかりや異音などのターボ点検を行いますが、今回の車両は「クラッチすべり」や「エンジンからの異音」が発生していたため、始動チェックや低負荷でのターボ異音チェックに留めました。

ターボ本体の点検は吸気/排気系編で紹介いたします。

 

■コンサルトチェック

コンサルトによる点検でパワーバランスにNGが判明しました。

計測した数字を見ると4番シリンダーに不具合が発生している模様。

(rpm)
No.1 No.2 No.3 No.4 No.5 No.6
106 111 83 7 127 111

 

■S1やS2に標準装備のレーシングプラグ#7の点検

img_1565

左から順番に1番 → 6番。

他のプラグは中心電極が白く焼けているが、4番のプラグだけかぶり症状が見られ、くすぶっている状態。高い着火性能を維持するには20,000Kmを目安に交換をお勧めします。

 

■コンプレッション測定

(Mpa)
No.1 No.2 No.3 No.4 No.5 No.6
1.2 1.2 1.2 1.2 1.2 1.2

圧縮不足などが発見されれば分解の前に内視鏡でのチェックを行い、不具合箇所の特定を行いますが、今回のエンジンは、コンプレッションに不具合は無く、6気筒ともバランスが取れている状態でした。

 

■ブローバイの確認

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ホース内部にブローバイによるオイル付着が見えます。インタークーラーなどへオイルが回っている可能性が高く、そのまま放置すればインタークーラーからエンジンにオイルが回り、プラグなどにオイルが付着することで不具合の原因になってしまいます。

そこで今回はインタークーラーの内部清掃や気密チェックが必要になりますが、その模様は「車載準備/車載編」でご紹介します。

さらに上記で発覚した「4番シリンダーのプラグのかぶり症状」や「エンジン内部の異音」をオーバーホールしながら検証していく必要がありますね。その模様は別の機会に紹介させていただきます。

 

次回はエンジンを分解しつつ、冷却系/潤滑系をチェックしていきましょう。

Vo.2 冷却系/潤滑系(エンジン分解)編につづく。

長鶴 俊一