RB26DETT S1パーツコンバージョンエンジン オーバーホール日記 Vol.2 ~ 冷却系/潤滑系(エンジン分解)編

■オーバーホール実施のS1パーツコンエンジンデータ

施工日 2002/11/14
施工後距離 73,812km
S1パーツコン基数 328基中35基目

 

みなさんこんにちは。エンジン班の長鶴です。

前回、車両点検/エンジン降し編で降したエンジンを分解し、冷却系/潤滑系パーツを点検したところ、下記表のとおり特にNGと判断できる所はありませんでした。日ごろのメンテナンスの成果ですね。これは素晴らしい結果です。

 

■冷却系/潤滑系の点検パーツ一覧と点検結果

カテゴリー パーツ 点検結果 <参考>オーバーホール作業
冷却系 ウォーターポンプ OK 交換 *
サーモスタット OK 交換 *
タンク/リザーバー OK 交換 *
キャンプ/リザーバータンク OK 交換 *
ラジエターキャップ OK 交換 *
潤滑系 OILポンプ OK 交換 *
ストレーナー OK 洗浄 → 目視点検 → 継続使用
ガイド/オイルレベルゲージ OK 交換 *
OILフィルターブラケット OK 洗浄 → 目視点検 → 継続使用
OILプレッシャースイッチ OK 交換 *
OILパン&バッフル OK 洗浄 → 目視点検 → 継続使用
* (オーバーホール時の標準交換指定部品)

 

点検時点ではNGではありませんでしたが、今後、10年・20年と乗り続けるためにもオーバーホール時には主要パーツを交換させていただきます。

それでは、各部の状態を見ながら紹介していきましょう。

 

■冷却系

車検ごとに冷却水の交換を実施していたため、S1パーツコン施工後、73,812Km走行したにもかかわらずサビが殆ど発生していませんでした。逆にコンディションが良いので驚く程です。

ウォーターポンプ↓

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サーモスタット↓

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<参考:他車の不具合例>

冷却水の管理が悪いと、ウォーターポンプがサビてしまいます。

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また、液状ガスケットを大量に塗布するとガスケットのカスが水路に流れ込み、詰まりの原因となります。

水路が詰まるとオーバーヒートなどの不具合が発生し、エンジンを壊す要因になりますので信頼できる店での交換が必要です。

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下のカットモデル(ウォーターポンプ)を見てもわかるように、内部にはベアリングやゴムシールがあります。錆が出ていなくても、経年劣化で水漏れや異音の原因になりますので、タイミングベルト交換時やエンジン分解時には必要アイテムとして交換が望ましい部品です。結果的には工賃の二重発生も無くなり、車両維持でのコストを下げる事になることも忘れてはいけません。

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■潤滑系

この車両はS1パーツコン施工時にニスモのオイルポンプへの交換を実施しており、内部ギヤの点検結果、何の問題もおきていませんでした。

オイルポンプ↓

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但し、6ヶ月の点検ごとにエンジンオイルとフィルターの交換を行っていたようですが、黒くなった部分をこすってみると、スラッジがたまっているのがわかります。これが油路に溜まると油圧低下し、油膜切れの原因となることもあるので、オーバーホール時に全て洗浄します。

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<参考:他車の不具合例>

オイルポンプは急発進や急加速を繰り返したり、オーバーレブをおこしたりすると強化品でも割れてしまう事があります。

殆どのS1パーツコンは純正オイルポンプを継続使用していました。最悪、下の写真のように割れてしまう事もあり、オイルポンプが回らず油圧が低下したり、破片がエンジン内部に回ってしまうため、重大な不具合に発展する危険もあります。分解時にはN1やNISMO製などの強化品への交換をお勧めします。

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次回はエンジンの心臓部である運動系で、ピストンやクランクシャフトの点検をしていきます。

Vo.3 運動系(エンジン分解)編につづく。

長鶴 俊一