SKYLINE GT-R RB26DETT/ENGも疲れています...「カーボンの蓄積」

第二世代GTR(BNR32、BCNR33、BNR34)のオーナーにとって、RB26DETTは特別なものですよね。単なるENGなのに。なんとも言えないオーラがこの直列6気筒エンジンにはあります。25年以上の月日が経ったのに、この耐久性は本当にスゴイです。とは言え、長年の疲れはカーボンの蓄積/汚れという形にも表れています。もちろん、ENGを分解整備したり、内視鏡でのチェック等を行わないと解らない事ですが・・・

そこで今回「圧縮の低下」が著しく発生したエンジンをオーバーホールしているので、エンジン内部の汚れについて紹介します。

最初に、カーボンの蓄積が引き起こす不具合ですが、下記のような事が挙げられます。
・デポジットによる異常燃焼。
・バルブへの噛み込みで、コンプレッション低下。
・シリンダー内部に傷が付いた事での圧縮抜け。

■シリンダーヘッド&バルブ
燃焼室、一番カーボン付着が多い場所でしょう。


バルブを外すとカーボンがこびり付いていました。バルブの当たり面/バルブフェイスにも広がっています。今回のエンジンでは、この面にカーボンが著しく付着していたので、圧縮低下という症状を引き起こしていました。

ロッド部の曲り以外にもカーボンのこびり付きがあまりに酷いと、交換する場合も無くはありません。真鍮ブラシでカーボンを除去できれば、継続使用可となります。

今回、カーボンが確実に取れ、当たり面の摺合せも綺麗に出たので、継続使用可としました。

■ピストン
ピストンにも、頭部や側面にカーボンがこびり付いています。
また、このエンジンはピストンリングの摩耗による密着不良で、スカート部まで未燃焼ガスが落ちてきていました。

ピストン本体が継続使用可能な場合は、清掃を行ってあげます。まずは、スクレッパーなどでカーボンを除去し、洗浄油を使いながらブラッシング清掃。その後、ウェットブラストを使って仕上げを行います。


手前のピストンはカーボン除去後となります。写真だけでは、新品と見間違うほどに綺麗になっています。ピストンリングの機能を発揮させる為に、これも重要な作業です。

■シリンダーブロック
未燃焼ガスによってシリンダーボア上部に付いたカーボンも同様に除去していきます。

(参考で)
使用する工具がフレックスホーンです。粒のたくさんついた果実のようですが、一つ一つに砥石がついています。洗浄油をかけながら回転させ、シリンダーボア内部のカーボンを除去し、ある一定レベルまでですが凸凹になっている傷の修正も行います。

これが、フレックスホーンをかけた後になります。
カーボンも無くなり、圧縮抜けも起さないレベル域になりました。

大森ファクトリーが考えるオーバーホールとは、エンジンを部品単位まで分解し、清掃、再度組み立てる事を基本とし、愚直なまでの作業の積み上げだと考え、摩耗部位のクリアランス調整、気筒毎の重量合せ、バランス取りなど、様々な基本的施工を繰り返す事だと思っております。

今後も、何か参考になる症状があれば紹介していきますが、疲れたエンジンをリフレッシュする事も是非考えてあげて下さい。皆さんのRB26DETTは本当に良いエンジンです!

エンジン班の長鶴でした。