今回紹介するのは、エンジン不具合の内容です。皆さんは聞きたくないかも・・・
車両は、2005年4月にS1エンジンパーツコンバージョンを施工したBNR34。
「エンジンが始動しない」と言う事で、日頃メンテナンスを依頼している日産ディーラー経由で
大森ファクトリーに連絡が入りました。
販売店でエンジンの圧縮圧力を計測したところ、全気筒ともの圧縮が無し・・・
早速、車両の陸送に合わせ、過去の大森ファクトリーでの施工履歴を確認。
S1エンジン施工時の走行距離は4,324km、現在の走行距離は58,657km、
約54,000kmの走行距離です。
原因推測としては圧縮測定の状況より、ヘッド関係、それもバルブに関する事柄となるので、
内視鏡による燃焼室確認を行い、タイミングチェーンカバーを外しました。
タイミンベルトが切れかかっているの分かりますか?
そして、ベルトを左右から挟むように、奥側のアイドラプーリー、手前側がベルトテンショナー。
写真で解るように、今回の原因はベルトテンショーのベアリングが破損し、
タイミングベルトの駒トビを起こした事でした。
ベルトの張り調整をするテンショナーも斜めになってしまっています。
今回、オーナーと相談をした結果、オーバーホールではなく、
以前の鷹巣ブログでも紹介したベアエンジンをベースとして使用し、
S1パーツコンバージョン仕様をそのまま再現する事になりました。
もちろん、オーバーホールという選択もありました。
ただ、腰下をバラさないで施工したパーツコンのS1エンジンだった事での各部の摩耗進行を念頭に、
今回の不具合が腰下に与えた影響が不明で、高い金額の部品交換の発生が懸念される事から、
結果的に施工コストを抑える提案内容を選ばれました。
S1エンジンを施工してから、走行距離が約54,000km。年数で言うと、14年が経過しています。
【皆さんへのアドバイス】
・まず、タイミングベルトは消耗品です。交換には部品代より工賃の方が高いので、
定期的に交換する事を怠る人もいますが、結果的にはもっと高いコストが発生する結果になります。
・タイミングベルトとアイドラプーリー、そしてベルトテンショナーはセット交換が良いです。
大森Fでは、コンディションによってはopt.でウォーターポンプの交換を推奨します。
2重3重の工賃発生を抑える為です。
また、RB26DETTのベルト交換に慣れた、経験値の高いお店で実施しましょう。
・第二世代GTR(SKYLINE GT-R)のオーナーの多くが、走行距離が少ない方が増えています。
但し、相当の年数だけが経過しています。
つまり、メンテナンスの基準を、走行距離管理から、経年管理に変える時期に、
車両自体がなっている事を理解して下さい。
これから先は多くなっていくのではないでしょうか。
不具合事例を紹介するのは嫌な感じです。
ただ、多くのオーナーの参考や助けになればと思っての事です。
そんな思いもあり、今回は固い文章になってしまいました。
次回は明るいネタでいきたいですね~。
では。