【VR38DETT S1エンジン 施工ニュース】

唐突ですが、皆さんからの問い合わせもあり、定期的に施工ニュースって銘打ったVR38DETT S1エンジンの紹介をしようと思います。

NISSAN GT-RR35VR38DETT S1エンジン 1号機がスタート!】でも紹介させて頂いたS1エンジンメニューは、エンジン降ろし→全分解→点検・計測(曲り・歪み・気密・クリアランス)→ポート段付き修正加工(INT)→洗浄→精度組み上げ→ベンチ運転(性能の測定・ならし運転)→エンジン搭載という流れで作業を行います。

また、測定部位が476ヶ所と、精度も高い領域で組み上げされる事も特徴です。

今回は、作業内容や交換部品に関して、少し詳しく紹介させて頂きます。

まずは、S1エンジンの性能に重要な下記2点の部品です。

GT3仕様カムシャフト

カム山を変更する事により、バルブの開くタイミングや閉じるタイミングを変化させる事が求められ、この施工ではGT3仕様のカムを選択。エンジンの運動性の向上を図るセッティングが出来るようにしています。

11MY純正ターボチャージャー

この施工では、アクチューエーターのセット圧アップ品が付いている11MYモデルに交換します。それにより、ブーストの安定を図っています。

次に、VR38DETT特有の作業内容を紹介します。

■継続するピストン。

最近のエンジンでは普通に見られるようになったサイドスカート部のモリブデンコーティングは、初期馴染みを良くする為に施すコーティングです。ガスケットリムーバーなどの剥離系の物を使用すると剥がれてしまいますので、洗浄時に注意が必要です。

■ピストンリングは交換。

シリンダーとの当たりの状況が、TOPリングにも見られる事ですが、セカンドリングの方が半分しか当たってないのがわかりますよね。これが全部当たってベタあたりの状態になっていると、ピストンリングの密着性能としてはかなり低下しています。

ユーザーの希望や、コンディションにもより、ピストンも同時交換する事もありますが、基本はリングのみの交換となります。

■メタル類は交換。

V6気筒エンジンなので、メインメタルは4カ所8枚となります。また、センターベアリングが無いので、その代わりにスラストワッシャーが入りサイドクリアランスを保っています。

■タイミングチェーンは交換。

VR38DETTはタイミングベルトがチェーンtypeとなります。通常使用だと20万キロまで無交換で大丈夫だと言われていますが、S1メニューではバルブタイミングの均一化と安定化の為にチェーンは新品交換としています。

以上の部品を主に精度良く組み上げていきます。その際は、随所に液状ガスケットを使用していますので、塗る場所に注意し、ボルトにも締め付ける順番や規定トルクがあります。

測定箇所・洗浄箇所・部品点数が多いのも、このエンジンの特徴ですが、他のエンジン同等以上に、些細な事を見逃さない、丁寧な仕事が求められます。

NISMO大森ファクトリーだからこそ、良いエンジンを皆さんに届けていきたいですね。

次回は、もう少しマニアックな領域も紹介出来ればと思っていますので、興味を持って頂いた方は参照してみて下さい。