効果ありあり!「車両診断 FOR SKYLINE GT-Rと、RB26DETTエンジン診断」

車両診断とエンジン診断の両方を依頼され、走行距離260,501KmのR32GTRが入庫しました。さすがに、S1施工後206,239Kmを走行した車両でいくつかのトラブルを抱えていました。但し、エンジン本体を破損する前に不具合を解消出来た一例です。今回は、補機系全般の交換が必要だった為、エンジンを脱着して不具合箇所を修理する事になったので紹介します。

この車両、実は2006年12月54,262Km時に、新品BAREエンジンをベースとしたS1フルコンバージョンを施工した車両です。施工後、2009年8月100,582Kmでターボチャージャーを大森ファクトリーで交換しています。それ以外では、メンテナンスノートを見る限り定期点検を実施した履歴しか残っていませんでした。

診断の結果は?

1、ターボチャージャーから「ヒューン音」発生。

まずは、預り時の簡易走行確認で、この不具合を把握しました。ブーストが掛かり始めると、不具合を持ったターボ特有の嫌な音が発生しています。ファクトリースタッフにとっては、かなり大きい音でした。エンジンを診断用に製作した治具で、ターボチャージャーのスラストのガタを点検しましたが、数値は基準値に入っていました。

基準値に入っているのになぜ音が出るのか写真ではわかりづらいのですが、ブレードが接触した形跡が見られます。音の原因はこの接触の原因でもある、シャフトのブレかもしれません。手で触ったり、計測したりしてもわからない不具合、音で判断できる事もあります。これも長年の経験と、脱着点検しかありませんね。ターボブローする前に見つかって良かったです。ギリギリセーフでした。

【注意?覚えておいて下さいね!:S1S2エンジンのターボ交換では】

S1S2エンジンにはR34GTR用の純正ターボチャージャーを使用しているのですが、そのまま使用しているわけではありません。追加工をしています。加工を行う事で、ブーストやパワー出力の特性を変更しています。STDターボチャージャーをそのまま着けないで下さい。追加工無しのターボチャージャーを付けた時点で、もうそのエンジンはS1S2エンジンの性能が担保出来ないばかりか、寿命を下げる事にも繋がります。交換の際は、必ず大森ファクトリーに相談下さいね。

2、タイミングベルト付近から「ジャラジャラ音」発生。

メンテナンスノートやステッカーからは、タイミングベルトを交換したかどうかの履歴が確認出来ませんでした、もしかすると、S1施工後の206,239Kmで一回も交換されていないかもしれません。フロントカバーを開けてみると、ベルトが伸びて、大分緩んでしまっている状態。音の原因はこの緩みとプーリーのベアリングがNGだった事によりました。

タイミングベルトを見ると、全体的に亀裂が入っていました。この亀裂でベルトが伸びてしまったんですね。これは切れる寸前のかなり危険な状態でした。当然ベルトが切れると、ピストンとバルブが当たってしまい、エンジンが壊れて使えなくなります。こちらもギリギリセーフでした。

タイミングベルトは、定期交換パーツです。きちんと履歴を残すクセをつけましょう。お店にもお願いして!特にチューニングエンジンには純正ベルトに対して、引っ張り強度1.2倍、耐熱性1.8倍、切断強度3倍、耐歯欠け・摩耗9倍のNISMOReinforced Timing Beltをお勧めします。また、プーリー交換も同時です。特に最近は、走行距離が少なく、経年過多の事例が増えています。その両方から管理した方が良いですね!

3、アイドリング回転が高く、不安定になる。

インテークマニホールドガスケットが切れ、エアーを吸ってアイドリングが高くなっている症状が見受けられました。今回は、あからさまにエアーの出入りした痕跡も残っています。分解してみると、やっぱり切れています。

ニスモのエンジンメニューではポート研磨などのヘッド加工を行います。メタルガスケットは、ヘッド加工と同じ形状に出来ないなどの理由で使用していません。紙ガスケットでも、耐久性は十分にあるのですが、さすがに206,239Kmは持ちませんでした。定期交換という部位ではないのですが、症状が出た場合は仕方が無いですね。最近は、この手の不具合を特定出来ないお店も増えていますので、診断メニューも含め大森ファクトリーを活用するのも選択肢ですよ。

「車両診断 For SKYLINE GT-R」

「RB26DETT エンジン診断メニュー」

4、他にも。

水回りのパイプが錆びついていたり、ホースにクラックが入っていたりと、かなりの経年劣化がみられました。

今回は、シールやホースなどのゴム部品で、交換できる所は全て交換しました。

RB26DETT、良いエンジンです。耐久性の面でも!

但し、消耗や劣化、不具合はどうしようもありません。今回は、エンジン本体のオーバーホールも実施したいレベルの走行距離と経年ですが、オーナーもそれぞれです。今回のように補機系部品の交換のみされる方もいます。私たちも最適で、よりベターなアドバイスと提案をしますので、SKYLINE GT-R大事に乗って行きましょうね。今回は、クラッチのフィーリングNGも含め、シャシー系の劣化部品も交換しているのですが、またの機会に。