最近、エンジン不具合で相談されるオーナーが増えている感じです。皆さんのENGは大丈夫ですか?「安心して下さい。GTRオーナーには大森ファクトリーがついていますよ!」って感じで。今回は、O/Hの作業紹介として、大森ファクトリーで3点セットと言われている追加MENUを紹介します。皆さんに覚えておいて欲しいのは、エンジンはプラモデルではないので、ただバラシて部品を組めば良いってもんではないです。点検測定と加工がオーバーホールのキモですよ。
①クランクシャフトの曲がり修正とプーリーのバランス取り
まず、クランクシャフトの曲りをチェックします。曲がっていれば曲りの修正を行います。基準は10/1000mm以内(純正基準は50/1000)です。数字だけ見るとピンと来ないですよね。10万キロ以上走行した車両のエンジンでもよっぽどの事がない限り、純正基準に入っている事が多いのですが、ニスモ基準で修正します。
せっかく曲がり修正や、バランス取りを行ったクランクシャフトです。メタルを組み付け時、通常だと数字だけを見た「勘合合わせ」です。一箇所毎の測定は変わりませんが、適合部品を測定値に合わせる「計測合わせ」も選択出来き、勘合合わせよりクオリティーの高いエンジンとなり、結果フリクション向上、耐久性向上に繋がります。
②シリンダーヘッドとインテークマニホールドの口合わせと段付き修正加工
次はシリンダーヘッドとインテークマニホールドの口合わせと段付き修正加工についてです。
段付き修正って言うくらいですから、無駄な段を無くしてあげる作業になります。今では機械が進歩して、機械加工を行う所も多いのですが、ニスモでは細かい部分のクオリティーを上げるために、全て手作業で行っています。指の感覚を利用して段差を無くしています。
また、S2エンジンだと段付き修正加工ですが、R2エンジンではポート研磨も行い、段付きを無くす作業より、もう一つ上の加工を行います。
③ピストンとコンロッドの重量合わせ
三つめは、ピストンとピストンピン、コンロッドとの重量合わせを行います。ピストンにもピストンピンにも個体差があり、新品で同じ部品番号だからといって重量が一緒ではありません。ピストンもピストンピンもバリ取り位しか出来ない為、重量調整出来ません。よって、コンロッドの重量を調整します。
コンロッドだけで酷い場合2.0g以上の重量差があります。大森ファクトリーでは、O/HやS2で1.0g以内。R2で0.2g以内を基準としていますが、重量合わせを行う全てのエンジンで「0.1g以内」を目標に調整しています。
もちろん、今回紹介した事柄以外にも、O/Hは様々な測定点検がベースです。
・タペットクリアランス
・バルブスプリング取付け荷重
・バルブシート気密
・バルブステム&ガイド隙間
・シリンダーヘッド&ブロック歪み
・カムシャフト曲がり
・クランクシャフトスラスト
・ピストンクリアランス
・ピストンリング合口&側面隙間
・コンロッド小端部ピストンピンクリアランス&サイドクリアランス
・メーン&コンロッドメタル選定でのメーンベアリングジャーナル寸法 等々。
なんとなく、解ってくれましたか?金属部品のプラモデルではないのが。これからも、こんな地味というか、大事な作業を紹介しようと思っていますので、とにかく、壊れた、不具合が出たら、どうしようと諦めず、O/Hで解決しましょ!
では。